次の日は少し雨模様だったが、まずまず出かけられないこともなかったので、二人で科学博物館と言うところに行く。バスに乗ってそれから地下鉄で行くのだが、地下鉄に乗ったとたんに異様な雰囲気に気が付いた。きらびやか、あるいは奇抜、あるいはレトロ、あるいはむちゃくちゃハイテンションな衣装を纏ったたくさんの人で地下鉄の中はあふれかえっている。若い人ばかりではない。どちらかと言うとＤＡＩＮＯとおなじぐらいのおばさんたちが、化粧もど派手に髪の毛にもきんきらをいっぱいつけてわいわいがやがやと賑やかなこと。いったい何があるのだろうと訝しげだった私たちだがすぐにるびちゃんが気が付いた。「あ、みちのくよさこい祭りだ！！」と、言うのがあるらしい。そして昨日の土曜日は雨の為に中止。二日間行われるはずだったこの祭り、今日一日となったらしい。 科学博物館のある駅につくと駅構内に大音響で音楽が鳴り響いていた。駅のすぐ外でみちのくよさこい祭りの踊りが繰り広げられていたのだ。それはすごい活気。たくさんのチームがそれぞれ意匠を凝らした意匠とメイキャップで順番を待っている。長蛇の列だ。見物しているお客さんの数より踊り手の方が多いみたいだ。この祭りは仙台市の各地で行われているそうで、踊り手チームたちは、一カ所で踊ったら電車やバスなどで違う場所に移動してそこでまた順番を待って踊る。一日、移動しながら踊り続けるらしい。いつもなら、デジタルカメラを持って歩くＤＡＩＮＯなのだが今回は持ってこなかった・・・何故だ・・・・？？この踊り手たちの衣装だけでも見応えがあると言うのに。その迫力は実際に見ないと分からないだろうが、とにかく熱気がある。そしてみな一様に楽しんでいるのが分かる。小雨の中ではあるが、そんな事は意に介せずと言った様で踊り狂う人たちは壮観だった。 初めて見たみちのくよさこい祭りを結構楽しみ、その横を通って科学博物館へ行った。そこらへんは森林公園の中で本当に緑に囲まれていて深い森があった。科学博物館は高い階段があり、登っていくのもなかなか大変だったが、それは裏側になっていて正面玄関は道路に面していた。つまり。地下鉄の駅から出て踊りを見ながら歩いてきた道は国道か県道か知らないが、博物館の正面を通っている道路より、ほとんど建物５階分は低いところにあった訳だ。なかなかに面白かった。中に入ってみると、この博物館はほとんどが触って知り、楽しむという形式になっていた。だから子供連れがとにかく多く、どの機械類の前でも長蛇の列ができている。しかし子供にも大人にも分かりやすく、触って体験できる形式の博物館はとても貴重なものだと思った。こういうものがどんどんできるといいのになぁと思ったＤＡＩＮＯだった。 一番、楽しかったのは（まるで小学生の遠足の作文だ！！）シャボン玉の中に自分が入れたことだ！これはとても嬉しくなって２回列に並んだ。大きなわっかの中に自分が入りわっかをひもで引っ張ってわっかが浸かっている洗剤（？）を持ち上げていくのだ。そうすると自分の回りに大きなシャボン玉が出来上がる。残念なのはてっぺんが閉じられないということだがそれでも十分に不思議な感触は得られる。自分が中に入っていると全く分からないのだが、他の人が入っているとすごく良く分かるのが体の回りにできた大きなシャボン玉はどんどんと中心部が体に引き寄せられて行くのだ。つまり形としてはみるみる砂時計のようになっていくのだ。しかし中に居る者にはそれが見えないのだ。ここでもカメラを持参しなかったことが悔やまれた。 そのほかたくさんの、子供から大人まで楽しめる、科学の不思議（常識？）が体験できるようになっていて、どこも賑わっていた。東北大学のなんとか言う先生が世界で初めて作ったアンテナと同じものが置かれていて二つのモニターが並べられ、ひとつは鮮明な館内の映像、もう一つは不鮮明な映像があり、アンテナを自由に向きを変えて、このふ鮮明な画像を綺麗にするというコーナーがあった。私がやってみたが画像はどんどん悪くなっていくばかりで、最初にあった不鮮明な画像の方が全くましという結果に終わった。るびちゃんがやってみると画像はかなり鮮明になり、これならなんとか見るに耐えるなあというところまで合わせることができた。なんか私はそういうのが本当に苦手（笑） さほど広くはない館内だがびっしり詰まった器械を見ていくと結構疲れる。そこで喫茶部で二人で休憩しながら色々話し込む。売店には宇宙食なども販売されていて、ちょっと試食をしてみたかったが買うのはやめた。なんとなく後で気持ち悪くなりそうだったから・・・閉館間近になってきたのでそこを引き上げる。また駅まで戻ったのだが、まだまだみちのくよさこい祭りは続いていてこれは夜遅くまで盛り上がって終わりそうもないなぁと思った。夕方になる急に気温が下がってくる。私はまた寒さを感じ始めたので、早々にアパートに引き上げることにした。

今日は体育の日。体育の日は何故か日本列島晴れ渡る。昨日までの天候は嘘だったかのように仙台もやはり晴天だった。今日は街へでかけようと約束だった。二人で色々な買い物をする予定だ。これは母と娘の楽しみの一つだ。るびちゃんにもっとプレゼントを買ってやりたい。何かいいもんが見つかるといいのだけど、と二人でバスに乗る。街は大変な混雑だったがそれでも昨日は街中でもみちのくよさこい祭りが開催されていたそうだから昨日に比べるとまだましだったのだろう。私たちはデパートに入ったり、アーケード街を歩いたり、様々なお店を覗き、るびちゃんの欲しいものを見つけて買ったりした。 カフェでお茶とサンドウィッチで軽い昼食をすませてそれからまた歩き回った。今回ＤＡＩＮＯは一つの大きな目的を持って街へ来た。それはるびちゃんから教えられＮＥＴでも調べて行きたくてたまらなかった、「サンテグジュペリ」と言うお店に行くことだった。この店について話すと長くなるので割愛するが。そこは飛行機やら飛行機関連のグッズやら置いているお店で、ＤＡＩＮＯにとっては垂涎の的。るびちゃんに案内されてその店に初めて行くと、聞いてはいたが本当に小さい。畳３畳分ぐらいしかない店で、所狭しと飛行機関係の、ものを並べてある。私はそこのオーナーと少し話しをして、これはまた一人で来た方がよさそうだ・・・るびちゃんが退屈するだろうなぁと思ったので、また水曜日に来ますねと約束して店を出た。

火曜日は実は何をしたのかよく覚えていない。天候が悪かったので、一日家にいてるびちゃんとたくさんの話しなどしていたのだと思う。夜はＤＡＩＮＯのお好み焼きを作って食べた。るびちゃんのアパートのすぐ近くは大崎八幡神宮と言うところなのだが、そこの宝物殿がずっと改修工事をしていたのがこの度完成した。そしてしばらくの間、一般公開している。そのこともあってなのか、連日お祭りが開かれていて雨だろうと晴れだろうと非常に賑やかだ。そして参拝客は鳥居から入っていって横道（るびちゃんのアパートのすぐ横）を通って帰っていく。だから日長一日、賑やかなこと。しかも何故か朝９時になるとまるで「本日運動会決行」のお知らせのような音だけの花火があがる。これには参った。あまりに近くで聞こえるし、いったい何事があったのだろう？？テロか？？と思うような大音響なのだから。るびちゃんはもうそれに慣れっこのようで「ここはなんかお祭りがあるとあれだから。休みの日でもゆっくり寝て居られないの。八幡様の音で必ず目が覚める。」と言ったが、そうだろうなぁ・・・あれじゃあなぁ・・・と思った。

水曜日。るびちゃんは学校へ行く。もう４年生なので授業はないが卒論のことで図書館やゼミに顔を出さなくてはならない。ＤＡＩＮＯはその邪魔はできないから今日は一人で街へ行くことにした。サンテグジュペリのオーナーとも約束しているし、ＤＡＩＮＯはちょっとリクルートにも歩くことにした。ううむ。。。なんと言えばいいのか、今のままの生活ではちょっとねと言う気がしている今日このごろ、絵を描いて食べていける訳ではないし、なんとか生活の安定を図らないとこのままではどうしようもない。仙台は良いところだし、住むにはとても便利かつ楽しいところだと思う。そういうことで部屋探しと仕事探しに一日歩く。サンテグジュペリで働けたらいいなぁと思っていたが、あの店では人はいらないだろう・・・と、言うことが今日オーナーと話してみて良く分かった。店を拡張したりしたら人手は必要だろうけど、今のままではなぁ・・・・色々なことを話していると時間が経つのを忘れるほど楽しかった。 他には高年齢で働けるところ探して歩いたが、まあまああるのでかえってびっくりする。パソコンのインストラクターの仕事もあったし、そこは本当に人手を欲しがっていたがそこだけでは生活するに足りる賃金にはならず、向こうも非常に残念がっていたが、こちらも残念だった。それでも部屋探しもしてみる。やっぱり仙台はまだ安いなあ・・・・こちらの希望するぐらいの部屋が希望する程度の金額でたくさん見つかる。決心さえして、仕事を見つけたらこれはあんとかなるなぁと言うのが今日の感触。 夕方るびちゃんが帰ってきてからそのことなど話す。しかし・・・このあたりから私の調子が俄然悪くなる。なんだか喉が非常に痛い。そして体がふわふわする。風邪気味かな？？やっぱり最初の新幹線と東京から風邪を引いてしまっていたのかもしれない。困ったなぁ・・・明日はるびちゃんの誕生日だ。

朝起きると喉が非常に痛かった。そしてなんだか体がぼーっとしている。これはまずいなと思い体温計で熱を測ってみたら３７，５度あった。微熱だけど普段体温の低いＤＡＩＮＯにはすでに１，５度ほど高い。ううむ。。。参った。今日はるびちゃんの誕生日でるびちゃんは学校だが６時に街で待ち合わせしてお勧めのアジアン料理のお店に行く約束なのだ。だいたい仙台に来たのはるびちゃんの誕生日を祝うのが第一目的で・・・・その当日に熱を出しているなんて・・・・ふがいないもいいところ。るびちゃんはがっかりした様子を私に見せまいとしながら心配してくれるが、なじられない分よけいに申し訳なくなる。 「今日は寝ていた方がいいよ、無理してこじらせてその後ずっと寝てなくちゃならないことになったら大変だから。何か薬を買ってくるね。」と言いるびちゃんは出かけて行った。「フバーハ」とか言う風邪薬を買ってきてくれてＤＡＩＮＯはそれを飲んでお言葉に甘えて今日は一日寝ていることにした。喉がとても痛いので、あまり何も食べたくない。晩ご飯はうどんにするねと言ってるびちゃんは心配そうに学校へ出かけていった。 一人でうとうとする・・・・寒いし、熱は下がらない。それでも薬が効いたのか眠っているうちにるびちゃんが帰ってきた。熱は上がりもしないが下がりもしない。ただ喉の痛みは心なしか引いたように思えた。うどんを半分ぐらい食べて、一番心配なるびちゃんに風邪を移すことを恐れてマスクをかけて横になっていた。 るびちゃんは次々と来るお誕生日メールを読んではとても嬉しそうだった。 そんな彼女を見て、本当に可愛そうなことをしたなぁ・・・・と布団の中でなんだか涙が出てきそうだった。ごめんねと何回も言ったが「構わないよ、どうせ、学校だったし。忙しい時だから自分の誕生日がとりわけ重要でもなかったし。」とは言ってくれたのだが、前日に晩ご飯を食べてから美味しそうなケーキを買って家に持って帰りハッピィバースデーってしようねと言っていた私の言葉が全部嘘になってしまった。それを言った時るびちゃんが顔をほころばせて「そんなことしてくれるの？！」と嬉しそうに言った顔が忘れられない。 あああーーあ、駄目な、ＤＡＩＮＯ・・・・・・ 知る人ぞ知る・・・・（ってみんなしっているだろうなぁ）ＤＡＩＮＯはるびちゃんにべた甘なのだ。普通大学４年生にもなった娘にこのようなこと・・・・と思うだろうが。。異常なほどの可愛がりようで・・・（ＨＰに来て下さる皆様はもういい加減うんざりぐらいそのことをご存じだと思う）つまり、ここで言いたいのは、ＤＡＩＮＯがいかに自分を責めたか、いかに落ち込んだかと言うことなのだ。それは常々のＤＡＩＮＯのるびちゃん狂いをご存じないとちょっと想像がつかないほどだと思われる・・・・

今日も熱が下がらない、体のあちこちが痛い。咳も止まらない。喉の痛みだけはおさまってはいるが・・「ねえ、病院に行った方がいいんじゃない？このままずっとこんな調子だったらしんどいし、この先、土曜も日曜も寝ていなくちゃならないよ。」とるびちゃんが言う。そうだ。。。。日曜日に帰る予定にしているのに、これではなぁ・・・・やっぱり病院に行こう。私が病院に行っている間にるびちゃんが買い物をしてきてくれる。今晩は、学校が遅くなり夕食も食べてくると言うことなので、私は葡萄パンとバナナを買ってきてもらった。 病院ではかなり長く待たされてとても寒かった。２時間近く待たされて、やっと診察。「あ、風邪ですね、暖かくして安静にしていて下さい。まだこれから熱が出るかもしれませんから無理はしないように。」と言われ薬を出してくれた。 この病院でちょっとおかしなことがあった。ＤＡＩＮＯの保険証はコピーなのだ。「コピーなのですが・・・」と言うと看護婦さんが「こちらの医院ではコピーのものは受け付けていないので、今日は全額頂きます。後で保険証を持って来て下さい。」と、言うので、「あ、遠いので持ってくるわけに行きませんから、送ります。」と言うと「じゃあちょっと待って下さい。保険証の承認を取ります。」と言って発行者のところに電話をかけた。「承認がとれましたので、問題ありません。では、今日は保険で行いますので、後日、保険証のコピーをファックスで送って下さい。」と言う。？？？？「あの、ですから、この保険証がコピーで・・・・・コピーでは問題で、ファックスなら問題がないのでしょうか？」と尋ねるＤＡＩＮＯ。すると、看護婦二人が急に真剣に話し合い始めた。」「コピーはまずいんでしょ、うちは・・ファックスはいいの？」「ファックスは本物をファックスして送るからいいんで、コピーは本物かどうか分からないから。」「でも今、承認取ったよ。だからこのコピーは本物の保険証のコピーだから。」「ファックスとコピーとどう違うの？？」二人は熱心に話し合っている・・・・・・・・・なんか絶句。「あのぉ、このコピーをこの医院で持っていて下さっても構いませんし、このコピーの保険証のコピーをもう一度取って下さっても構いません。」とＤＡＩＮＯが言うと、「そうですよねえ。」とやっと納得したように看護婦は動き出した。なんか非常にばかばかしくておかしかった。 薬局で薬をもらってるびちゃんのアパートに帰る。待っていたるびちゃんに容態を話して、それから学校へ行ってもらう。私はそれからぐっすり眠ったようで目が覚めたら７時だった。るびちゃんが用意してくれていた、葡萄パンとバナナ、それにポカリスエットを飲んで夕食。 その後、薬を飲んだ。またうとうとしていたらるびちゃんが８時半ぐらいに帰ってきた。その時熱は下がっていた。「熱下がって良かったね。このままもう出ないと良いのだけどね。」本当にそう思う。るびちゃんと約束したのは『アジアンのお店』『卒業式の着付けの予約』『お寿司屋さん』『広瀬川に芋煮を見に行く』『ピザを注文する』『街のお店を見て歩く』『科学博物館へ行く』『ケーキを買って誕生日のお祝いをする』今回それだけだったのだが、まだ二つしか守れていない。 「みにまむちゃん、食欲ないみたいだから、もう食べ物のことはいいよ。消化のいいもの食べて胃腸を壊さないようにしたほうがいいし。だから無理しないで熱さえ下がれば他のこと出来るからね。」と言ってくれる。そうだね、せめてもう少し約束を敢行したいよ。 その夜、胸のところをチクチクと針を刺されるような軽い痛みと虫が這っているような嫌な感じをいったいなにかな？とおもいつつＤＡＩＮＯは眠りについた。

朝起きてみてびっくりした。なんだか体がかゆい。とてもかゆい。かゆさは一カ所ではなく本当に体中がかゆいのだ。なんだろうこれは？？と衣類を持ち上げてお腹を見ると！！まあ、お腹全体が真っ赤になってぶつぶつがいっぱい出来ている。ぶつぶつは帯状になってつながってそこら一体が真っ赤に見えるぐらいだ。えええええ？？？と、昨夜胸のところがチクチクしたのを思いだしパジャマを脱いで鏡の前に立つと。チクチクした胸のところも真っ赤になっている。お腹と同じだ。それだけではない、肩、腕、お尻、足、ほとんど体中。るびちゃんに背中を見てもらったが背中だけはなんとかまとも。顔は元々まともではないが、一応そのまま、つまり、顔面と背中を除いたあうべて真っ赤なぶつぶつが出ていたと言うことだ。 これはいったい何だろう？？？私は今までアレルギー的なものは起こったことがない。アトピーなどの皮膚炎もない。こんなのは子供の時のはしか以来初めてだ。食べたものを考えてみるが、中るようなものを食べていない。では？？薬か？？？それしか考えられない。 以前るびちゃんが薬でものすごい発疹が出たことがあった。掻いちゃ駄目、掻いちゃ駄目と言い続けたがあまりのかゆさに顔を掻いて今でもあごのところにその跡が残っている。それと同じような類の湿疹だろうか？すごく気になったが、今日は医者は休みだ。薬局も休みだ。尋ねに行くことも、指示をあおぐこともできない。これは我慢するしかない。しかし喉の痛みと咳はかなりましになっていたし、何より熱が下がっていた。服を着ていたら他の人からは見えないだろうし、自分がかゆいのと痛いのを我慢すればいいのだから、なんとかなるだろう。るびちゃんと相談してとりあえず、薬を服用することをやめた。市販の風邪薬は医者に行った日から飲んでいない。でもそれが残っていての相互化学反応ということも考えられる。とにかくどの薬も飲まないようにしよう。 熱が下がったし、幸い天気もいいし、街までは出られないだろうが、るびちゃんとの約束を二つばかりは果たせるなあと思い、「美容院に卒業式の予約に行こう、」それから、広瀬川を見に行こう。」と言うとるびちゃんは大丈夫？と案じてくれたがこんないいお天気の土曜日に一日中家で私につきあわせるなど可愛そうだった。二人で外へ出る。私はマスクをして、なんだか怪しい人のような雰囲気だ。体がかゆい。それをじっと我慢しているので時々、とんでもない顔つきになる。るびちゃんがそれに気がついて、掻いちゃ駄目とかゆいところをばんばんたたいてくれる。痛みと言うのはかゆみに勝のだなあと漠然と思ったりした。 大崎八幡宮は今日も大変なにぎわい。そっちから行ってみようと言うことになって横道から八幡様の境内に出る。そこでは仙台名物「すずめ踊り」が披露されてた。私はそれを見るのは初めてだ。結構興味深く見ていたのだが、るびちゃんはもううんざりだと言うような顔をしていた。（るびちゃんは祭り関係のものがあまり好きではない。一回さらっと見たらそれでもういいのだ。後学の為に知っておくことは大事だと思っているがそれで楽しむことはない）私も長く見ていても仕方がないと思ったので人垣の間を縫って参道を降りていく。 どこの美容院に行くのか聞くとすぐ近くに「着付けします」と看板が出ているところがあるからそこにしようかと思うとるびちゃんが言う。その美容院に行ってみたが小ぎれいで若者の店みたいだ。どうしようかと少し迷ったけれど入ってみることにした。すると小さな店は若い女性やおばあさんで満杯だった。ううむ、おばあさんも来ているのだから、結構いいかもと独断の判断をして店の人に着付けのことを聞いてみる。「まだ正月とか成人式がありますから、卒業式の予約はしていないんですよ。」と言われる。そうかもねえ。しかいもう卒業式までは仙台に来られないだろうからここである程度話しを決めておかないと後でるびちゃんが困るだろう。 お客さんの髪を洗っていた男性の店長さんがやってくる。「卒業式ですかぁ？今ねえ、まだ今年の予定帳しかないのね、だから、来年の書き込めない訳。でも来年の予定帳が来る頃に電話して下さったら予約しますわん。」ううむ？？？言葉遣いといい振る舞いといい声といい・・・・・「あまりに早い時間から着せておくのは可愛そうなので、卒業式に間に合うような一番いい時間を早く確保しておいきたいのです。」「あら、こっちも夜中からなんていやよぉ、私たちだって寝たいしねえ。だからそんなにたくさんの予約は取らないから大丈夫よん。」「マスターが着付けして下さるのですか？」「ううん。着物の着付けの先生に来てしていただくの。私たちはお髪のことしたりメイクしたりよ。」「ああ、そうですか。」「そうね、予定が決まったら先に一回来て頂いてお髪一回結ってみて、イメージ通りかどうか確認した方がいいわね。当日だとイメージ違ったりしたらいやですものねえ。」「あ、はいそうですね。ではまたご連絡しますからよろしくお願いします。」「ええ、お待ちしてるわん。」 店を出てからるびちゃんと顔を見合わせてしまった。「あの人・・・・」「オスギかピーコかと思った！！」私たちは完全に同じ感想を持っていた。。大笑い。本当に顔は似ていなかったけどしぐさ、声話し方完全にそっくりだった。おかま店長！！！」でも親切そうだし、この店でいいねと決めた。これでひとつ用事は終わった。 そこからほどなく広瀬川の牛越橋だ。そこで、「芋煮会」が見られるという。これもるびちゃんとの約束の一つだった。るびちゃんが仙台に行ってから毎年、メールで知らせてくれる芋煮会とはいったいどういうものか、実際この目で見るのは初めてだ。るびちゃんもちょうど芋煮の時期に仙台に来た私に是非見せたかったのだろう。 今回仙台にやってきて気がついたのだがあちこちのあらゆるコンビニ、スーパーで、薪が売られている。そして「貸し鍋あります」という張り紙も見られるのだ。そんなものは普通コンビニなどで見られるものではない。まさか、仙台の人たちが来たる寒さに備えて薪を用意する訳でもないだろうし、いったい何に使う薪なのかと思っていたがそれこそ、芋煮に使う薪であり、鍋だったのだ。芋煮とはそれほどメジャーな行事なのだろうか？ 橋の上まで来ると、河原に、なんとまあ！！花見ほどの人たちが押しかけて、陣地取りをし、ビニールシートを広げたりテントを張ったりしている。そして河原の石で竈を作ってそこに大きなお鍋を載せている。椀にもったものを食べている人たちもいっぱいいる。これこそが芋煮会でありみなが食べているのが芋煮なのだそうだ。仙台、（宮城県）と岩手県だけで行われる行事だそうで、宮城県はみそ味、岩手県は醤油味だそうだ。芋はさといも、こいもの類らしい。河原はびっしりの人で埋まっていてここから見えるところだけでなく河原のある所ではどこも同じような光景が広がっていると言う。ほーーーさすがにるびちゃんが見せたがっただけはあるなあと感心した。そして、この寒い地方ではこの行事は暖まりそして交流を保のにとってもいい集いなのだろうなぁとも思う。花見の頃、そして今の時期、春と秋に人々はこうして集い、楽しいひとときを過ごすらしい。 結局この日は、すずめ踊りも見たし、芋煮も見たし・・・・先日見たみちのくよさこい祭りと合わせてこれで七夕以外は全部見たことになる。良かったなぁ・・・・体はとてもかゆくて痛かったが熱も出ず、まあまあの気分で一日過ごせた。夜はるびちゃん手作りのチェス盤で初めてチェスをした。全く知らなかったのだがるびちゃんに教えてもらってなんとか駒を動かすことができた・・・が一勝もできなかった。今度るびちゃんに会うまでに腕を磨いてなんとか一勝したいものだなと思った。

日曜日、本当は今日、京都まで帰る予定で出てきたのだが、病気なんかしてるびちゃんと出かけることもままならなかったからもう一日仙台にいることにした。明日、帰ろう。今日は熱もないし、咳も少しはましになってきている。ただ、相変わらず体には発疹があってそれがいたずらにかゆくてたまらないのだが、それはなんとか我慢できる。幸い天気は良く暖かい（暖かいとかゆいのだが・・・）それで二人で街へ出る。 「るびちゃんのお誕生日にケーキでお祝いできなかったから、○○○カフェへ行って好きなケーキ食べさてあげる。」と言うとるびちゃんは満面に笑みを浮かべた。○○○カフェは、とってもお洒落なカフェでそして高い！！ちょっと学生さんがケーキを食べに簡単に行けるような値段ではない。たぶん彼氏とクリスマスデートとか・・・そんな時しか行けないだろうなあ・・・ケーキやお茶の値段が学生さんの食費二日や三日分はゆうに飛んでしまうぐらいだから。これでるびちゃんが喜んでくれるならとＤＡＩＮＯも嬉しくなった。 今日はＤＡＩＮＯはるびちゃんが誕生日にとくれたとっても素敵なピアスをして、たまたまその色とぴったり合っている服を着てちょっとお洒落。これなら本当は体中ぶつぶつのおばさんだなんて誰も思わないだろう・・・・と、思いながらかゆいところを無意識にかこうとする手をるびちゃんが制止する（笑い）るびちゃんも私があげた誕生日のプレゼントの服とお洒落なマフラーを着てとっても可愛い。ああ、親ばか！と笑われてもいい。この娘が綺麗でいることはＤＡＩＮＯの大きな喜びなのだ。 そんな二人は○○○カフェへ向かったがさすが日曜日。店の前には椅子が並んでそこにずらっと高級そうな衣類をつけたおばさまがたが並んでいる。これは１時間ぐらい待つかもしれないねえ。どうしようか先にＪＲに行って新幹線の切符を買ってこようかなぁと言っていたらお店の人が「５分か１０分ぐらいお待ち下さい。」と言う。そうなのだ、お茶のお店だから注文を聞いてから料理を作る時間もいらないし、ケーキはその店で作っているがたくさなるから切って出すだけでいい。そんなに時間はかからないのだと知って差し出されたメニューを見ながら二人でどれがいいかねえと楽しく選んで待っている。美味しそうなケーキがいっぱいで迷ってしまう。私たちは二人ともあまり生クリームがこってり載ったケーキは好きではない。どちらかと言うとパイとかタルトのようなものが好きだ。 すぐに呼ばれて、席に着く。窓際の道行く人が見える明るい席だ。るびちゃんは秋のマロンタルトを私はブルーベリーのシフォンケーキを頼み二人とも紅茶を頼んだ。紅茶はポットで運ばれてくる。そしてポットに可愛い覆いをかぶせた。ううむこの覆いは効き目があるのだろうか？ポットカバーと言う物だ。そんな高級そうなものは使ったことのないＤＡＩＮＯだからあまり信用していなかったが、一杯目の紅茶をゆっくり飲んだ後ポットからもういっぱい注ごうとしてその熱さに驚いた。これは効き目あらたかだなぁと感心する。ケーキも美味しいしお茶も美味しいしるびちゃんも満足してくれたようでＤＡＩＮＯは嬉しい。二人でまたあれこれ話して、良かったね、とにかく最後に街に出ることができてと二入で喜んだ。 店を出た後、ＪＲに行き私は明日の切符を買う。月曜日だしもう来しなのような大混雑はないだろうと分かっていても、もうあんなのはごめんだ。。。だから飛行機がいいんだよ、絶対立ち席なんかないから。と思いながら適当な時間の指定席を買う。 その後るびちゃんがもう一つ私に見せたいものがあるんだよと一つのビルの中を案内してくれた。そこには、レゴでできた、ＣＤプレーヤーがあった。本物のレゴでできていてレゴ社のロゴも入っている。真っ赤なレゴ３つ分（かなり大きい）でできていて、真ん中が機械、両端がスピーカー、コンセントも、リモコンもレゴでできている。レゴ社が全部で１５台だかなんだいかあまり多くない数を作って売り出して、やっと手に入った（入荷できた）一台だそうだ。これ、２６０００円だった。欲しいなぁとるびちゃんと言い合ったが、ＣＤは聞けるがそのほかの機能がない。お洒落で部屋の中に置いておくのと、レゴ大好き人間が喜ぶ品物だと思った。高いし、必要がないからもちろん買わなかったけれど、いつかレゴの国、デンマークに行きたいねえと二人で夢をかたりながらの見学だった。 「もう欲しいものはないの？お寿司食べに行っても大丈夫だよ。」と言ったが「みにまむちゃんはきっと生のお寿司今日は食べられないだろうから、私一人食べるの嫌だしいいよ、今日は特製のシチューを作るから。」と言う。じゃあ、何か欲しいものがあったら遠慮無く言ってねと言うと、一人用の鍋が欲しいと言う、確かに持っているものは一人用には少し大きすぎる。ダイエーに行った。ダイエーは残念ながら西部に負けていたが、感謝セールをやっていて日用品のところは売り切れ続出なのか一人用のお鍋のあたりは棚ががたあきになっていた。学生の多い街だからセールになったとたんにわーーーと買いに来たのかなぁと思う。それでも一個だけ残っていたお鍋は空色をしていて大きさも手頃でとても可愛らしかった。るびちゃんはそれが気に入って、それにすると言った。いや選ぶ余地はなかったのだが・・・・「そらいろこるび」と名前をつけた。これから大事にしてくれるのだろうなぁと思う。 アパートの近くまで帰ってきて夕飯の買い物をする。そこはセイユーなので、こちらは勝ったチームの方だから盛大に安売りをやっていた。明日、私は帰るけど今回はお寿司も食べさせてやれなかったし、そう思って和牛のステーキ用を買う。（本当に和牛であることを願いながら）るびちゃんは「いらないよそんなお肉、高いし、買うならこっちの細切れでいい。」と言うが、学生の毎日、少ない仕送りでなんとかやりくりして生活しているのだもの。和牛のステーキ肉なんて自分では買えないだろう。「細切れなら自分でも買うでしょ。明日でも、このお肉焼いて、きのことかピーマン炒めて添えたら立派な夕食なるよ。」と無理矢理買った。 るびちゃんは夕飯を作ってくれて美味しく食べた。それから二人でまたチェスをやって遊んだり。（一回も勝てなかった）送る荷物の準備をしたりと最後の夜はなんだかもの悲しい。熱はすっかり引いていたし、発疹も少しましになっていたがまだかゆかった。京都に戻ったら医者にいかなくてはならないなぁと思いながら、なんでこんなことになってしまったのだろうと情けなく思う。それでも約束したことの半分ぐらいは実行できて少しほっとしていたＤＡＩＮＯだった。ずっと寝込んでいたらそんなこともできなかっただろう・・・・ ごめんね、るびちゃんと思いながら夜は更けていった。

「もう、タクシーで駅まで直接行くし、送ってくれなくていいよ」と言って家を出る。ありがとうね、るびちゃん。タクシーに乗ったらるびちゃんが一生懸命に手を振っていた。私も手を振りながらやっぱり目頭が熱くなってきた。いつまでたっても同じだ。今度仙台に来るときは卒業式だ・・・・・入学式の時初めて仙台に来てあれからるびちゃんはずいぶん大人になった。もう私が帰るときも泣かなくなった。あの時はわんわん泣いていたのに。でも私は全然変わらないなあ・・・いつまで経っても子離れできない。 新幹線に乗って一路京都を目指す。京都に着いたらまだ半袖を着ている人がいてちょっとぎょっとする。相変わらずの京都駅の大混雑。ああ、もう戻ってきてしまたと行きは長かった行程を思い返す。 るびちゃんからメールが届いていた。「柔らかい」と言う題名で。「お肉とってもびっくりするぐらい柔らかかったです。ありがとう。とても美味しかったです。」それを読んで、ああ良かったと思った。 ふがいないＤＡＩＮＯだった今回の仙台旅行。 それでもるびちゃんは私と会えて喜んでくれたのだろうか？そうだといいな・・・・と思う。湿疹のことも心配してくれているから、病院に行かなくちゃ。ごめんね、るびちゃん、そして私はそれでもとっても楽しかったのだよ。と、つぶやく。 最後に、約束したお友達、いこあんさん、よーへーさん、本当にごめんなさい。普通なら。・・・・・たぶん普通の人なら、いくら台風が来ていたとしてもお二人に会うことを優先したのだろうと思います。約束していたのだから、めったに会える機会もないのだから。でも、ＤＡＩＮＯは、待っているるびをそれ以上待たせたり、台風で来られないのじゃないかと心配させたりすることができない母親なのです。友達はとても大切です。こんな私にとっても、でも、一番優先はいつまでたっても娘なのです。こんなＤＡＩＮＯです。ごめんなさい。 今度、いつか、るびと約束しないで、いこあんさにゃよーへーさんだけに会いに東京へ行きます。その時は何があっても最優先でお二人に会います。今回のこと許して下さいね。たぶん・・・・ＤＡＩＮＯの風邪引きと薬湿疹はお二人と約束を破った罰だったのだろうと、ＤＡＩＮＯは思っています。だったら、痛みもかゆみも我慢しなくちゃね・・・・終わり

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